長年勤めた会社を早期退職した。
そろそろ60代。
誰かに必要とされる仕事がいい。
「介護」か。いつかくる自分の現実に、重ね合わせた。
きっと自分にもやれるはずだ。
職場は女性スタッフが多く、はじめは自分が浮いている気がした。
おばちゃん連中の井戸端会議は苦手だなあっと思ったし、
「朝ごはん食べたの?」とか「一緒にお茶飲まない?」とか、少々おせっかいに感じた。
でも、男だからこそ、みんなに重宝されることも多い。
体の大きな利用者の体位変換や、男性の入浴介助、蛍光灯の交換だってすぐやれる。
夜勤は警備会社時代に経験したからみんな頼りにしてくれた。
ここは誰かとの競争や評価とは無縁の世界。
こんな居場所があったのか、とココロに稲妻が走った。
気がつけば3年経って、介護福祉士の資格も取った。
おばちゃんの一人に「あなたが介護福祉士とはね」と笑いながら茶化された。
でもおばちゃんのおせっかいがあったからこそ、自分はここにいるような気がする。
無口な自分に、毎日毎日、飽きもせず話しかけてくれたことに感謝したい。
あと15年もしたら、おせっかいなおばちゃんたちに介護される側かもしれない。
それまでは、日本を支えてきた先輩たちにここで恩返ししたいと思う。
ココロおどる、
快護をつくる。